流行あれこれ《ナ〜ハ》

≪ナ行≫
ニュートラ
日本において、1970年代の半ばから1980年代前半にかけて流行したスタイルで、ブームの中心は女子大生や若いOLでした。キッカケとなったのは当時続々と創刊され始めたファッション雑誌の「anan」が、関西の山の手(神戸)発のお嬢様ファッションを取り上げ『ニュートラ』と名づけたことでした。その後、同様にファッション雑誌の「JJ」が特集を組んだところ、更にブームになり全国的に広がっていきました。「神戸発信のニュートラディショナルファッションスタイル」と言うことから「ニュートラ」と略されますが、あくまでも和製造語のため、英語のnew traditionalとは関係ありません。また、関東では横浜元町発の「ハマトラ」というスタイルが流行しました。
基本的なスタイルは、ブレザースーツ(ブレザーと共地のスラックスを組み合わせたスーツ)や、プリントワンピースにカーディガン等をベースアイテムとし、海外有名ブランドのアクセサリーやバッグ、スカーフなどを組み合わせるといったものでした。ブランドはグッチ、フェンディ、セリーヌエルメス等が主流でした。
●ニュー・トラディショナル(new traditional)
極めてファッション性が高く、∃ーロッパ感覚を取り入れたアメリカのファッションで、より現代的で斬新な感覚を加味したアメリカン・トラディショナルのことを指します。
●ニューヨークコレクション(New York Fashion Week)
1962年にアメリカン・デザイナーズ協議会 (CDFA) が発足されて以来、ニューヨークで開催されているプレタポルテのコレクションです。他のコレクションに比べて、現実の生活を意識したキャリアのための実用的な服が多いのは特徴的です。
ちなみに、ファッション・イベント全体を「コレクション」と呼ぶのは日本だけで、世界的には "Fashion Week" と言います。


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≪ハ行≫
パタンナー
和製造語です。日本においては、デザイナーをアシストする役割だという解釈がほとんどだそうですが、フランスなどのヨーロッパ諸国ではデサイナーとパタンナーは同格であり、著名なデザイナーの陰には優れたパタンナーありと言われるほど重要な存在になっています。役割は、デザイナーのイメージしたデザイン画を元に服飾・ファッションの型紙を引くことを専門とする人で、正しくはパターン・メーカー (pattern maker)と言います。また、パタンナーをmodelist(モデリスト)、modellista(モデリスタ)、デザイナーをcouturier(クチュリエ)、stilista(スティリスタ)とも言います。イタリアでは日本と近い感覚の位置関係のようです。
ハマトラ
横浜トラディショナルの略で、1970年代後半のニュートラから派生した独自のファッションスタイルです。ニュートラ同様ファッション誌がブームの火付け役となって広まっていきました。中心となっていたのは、山手のフェリス女学院などの名門女子大に通う女子大生たちで、横浜元町が発信地です。言わば、女性版アイビールックで、山の手の女性らしさと可愛らしさが加わった清潔感あるお嬢様スタイルでした。
基本スタイルは、トレーナーに白のレーシーニット(レースのように多くの穴があって透けて見えるニット)のストッキング、ポロシャツ、ベスト、カーディガン、ミニ丈の巻きスカートにハイソックスの組み合わせ、と言ったような独特なスタイルです。また、「三種の神器」と言われ、「フクゾー」の洋服、「ミハマ」の靴、「キタムラ」のバッグは定番ブランドとして必須アイテムだったようです。
また、関西の山の手、神戸から発信されたニュートラとは対抗意識もあったようでした。
●パリ・コレクション(Paris Fahion Week)
年2回、フランスのパリで開かれる服飾ブランドの新作発表会です。「パリ・プレタポルテ・コレクション」では3月に秋冬物、10月に春夏物が約2週間の日程で発表され、「パリ・オートクチュール・コレクション」では1月に秋冬物、7月に春夏物、「メンズコレクション」も2月と7月に開催されています。これらを総称して「パリコレ」と言っています。
世界の有名なプレタポルテのコレクションは主にミラノ・パリ・ロンドン・ニューヨーク・東京の5カ国5都市で開催されます。なかでもパリ・コレクションは一番の規模を持ち、その年のファッションの流行が左右されるため注目度は非常に高いです。


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●パンクファッション(Punk Fashion)
1970年代後半にロンドンの若者のファッションから生まれました。ベースとなったのはセックス・ピストルズと言うパンク・ロックのステージ衣装でした。日本では、ヴィヴィアン・ウエストウッドの取り扱いアイテムがそのままパンク・ファッションのようなイメージをもたれているようですが、実際はほとんどが自作の衣装で、誰でも真似のしやすい簡単でシンプルなものだったようです。
現在のパンク・ファッションのイメージはきついメークに派手な色で逆立ったヘアスタイル、モヒカン、スキンヘッドなどと鋲付の黒い革ジャンとスリムなパンツ、装飾はチェーン、安全ピンと言ったような反抗的で攻撃的なものだと思われがちですが、このようなスタイルは1980年代にイギリス郊外で大流行したパンク・リバイバルハードコア・パンク以降に定着してきたと言うことです。パンク・スタイルといってもファッションとしてのジャンルが確立したもので、必ずしもパンク・ファッションを好む人がパンク・ロックを聴くとは限らなくなりました。
ファストファッション(fast fashion)
ここ5年ほどの間に急速に使われ始めた言葉です。ファストフードのように「早く安い」事を目的として確立されつつある衣料販売の業態です。その時に求められているファッショントレンドをすばやく取り入れ、普段使い用のリアルクローズを短い期間で大量生産し、低価格で提供するグローバルな衣料販売チェーンのことを指しています。
主なブランドは「H&M」「ZARA」「FOREVER21」「GAP」「リミテッド」等で「ユニクロ」よりも企業規模は大きく、グローバル化されています。


●ファッションショー(fashion show)
大きなものは日本では『コレクション』、海外では『ファッション・ウィーク(fashion week)』と言われます。服飾の作品発表や、流行の発信や販売促進などを目的とし、モデルに服を着せて観衆に提示します。
もとは上流階級向けにオートクチュールのショーが行われていましたが、戦後先進国に新たに増えてきた富裕層に向けてプレタポルテのショーが行われるようになりました。その後、中産階級向けの服飾市場が拡大してきたため大量生産が必要となり、卸売業者や小売業者に向けての新作発表を目的としたショーが行われるようになりました。そのため、オートクチュールプレタポルテのファッションショーは、ファッションデザイナー及びファッションブランドの芸術的作品の発表の場としてのショーになって行きました。
一方、近年の日本では、中産階級の若者向けの服(リアル・クローズ)を対象としたファッションショーが、有料の興行として成立してきました。


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