流行あれこれ《ハ〜マ》

≪ハ行≫


●ファッションデザイナー(a fashion designer)
服飾・ファッション分野のデザインを専門とする人を指します。
自分の名前でブランドが確立されている人だけでないのは勿論のこと、企業専属の人、インディーズの人、フリーの人などその仕事状態は様々です。基本的にスタイル、色などのイメージを考え、具体的なデザイン画にまとめるまでの仕事をしています。そして、そのデザイン画を型紙におこしていくのがパタンナーです。

ただし、これといった仕事の流れが決まっているわけではないので、デザインのイメージだけを考え、実際にデザイン画にするのは助手(モデリスト)にまかせる人もいれば、デザインから素材の選択、裁断、ミシンがけまですべてやっている人もいます。

注文服(クチュール)のデザイナーは、ミシンがけから仕上げまで、自分で、あるいは直接人を指導しておこなうのがふつうです。着る人の個性を尊重し、その意見も取り込みながらデザインを決め、仮縫いをして、着る人それぞれに合った服を仕上げていきます。
既製服(アパレル)の場合は、デザイナーが製品になるまで責任をもってチェックすることもありますが、大概は組織の仕事の一部としてデザインを担当するといったケースが多くあります。

いずれにしても、服が完成するまでの工程をうまくコントロールするとか、最終的な着こなしまでを考えられるファッションセンスと、イメージを的確に表現できるデザイン力が必要な職業です。



●ファッションモデル(fashion model)
ファッションブランドの衣服、装飾品を身に付け、ブランドのイメージとして広告やファッション雑誌の被写体、またファッションショーなどに出演することを職業としているモデルのことを言います。

雇用形態としてはモデル事務所への所属や他のマネージメント会社への所属と言う形になります。雑誌の専属モデルと言われている場合でも、実際は全てマネージメント会社を介しての契約と言うことになります。ファッションモデルの寿命は5年〜10年程度だそうで、その後は女優やタレント、デザイナーなどへ転身をしていくようです。

日本のファッション雑誌では、1990年代以降ストリート系を中心に、プロのモデルではなく街頭スナップや読者モデルを多く取り入れたことがありました。このためモデルの出演料が低下してしまい、プロのモデルが減少するという傾向が見られました。



●フォーマルウェア(a formal dress[suit])
フォーマル(正式の、公式的な)な場で着用する服装の総称。正装。
ブラックフォーマルとカラーフォーマルがあり、ブラックフォーマルは黒を中心とした冠婚葬祭などで着用し、カラーフォーマルはパーティの華やかな場所での服装です。定められた衣服を着ることによって、敬意や謙譲の意を表現する事が出来ます。

また、正式な社交服として、イブニングドレス(男女を問わず夜間の社交の場に用いる礼服)などもあります。
ソーシャルウェア(社交服)よりも少し格が上のイメージで、昼間と夜間の区別、正装と準礼装、略礼装の区別、TPOに応じた着こなしなどいろいろとルールがあります。例として、昼間のアフタヌーンドレス、夜間のイブニングドレス、ディナードレスなどがあります。

何が正装に当たるかは文化や状況によって異なります。一般的には19世紀ごろのヨーロッパにおいて確立した服飾意識が全世界的に通用するとされていますが、他民族が集まるような場であっても、その民族固有の衣装のうち礼式にかなったものを着れば礼装としてみなされています。また、参加メンバー、場所、パーティーのランク、主人の社会的な地位や身分などによっても異なったりします。



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プレタポルテ(仏:pret-a-porter)
フランス語でpret(プレ)は「用意が出来ている」、purter(ポルテ)は「着る」という意味になり、a(ア)は不定詞を導く前置詞となります。英語に直訳するとready to wear、あるいは、ready to carryにあたり、「そのまま着られる」「そのまま持ち帰られる」という意味になります。

まとめると「すぐに着られる既製服」ということになるわけですが、一流のデザイナーがデザインを手がけ、仕立てをした既製品にのみ使われます。
日本では、フランスの著名デザイナーによる輸入高級既製服というイメージがあったため、単純に「既製服」とは訳さず「高級既製服」と訳されました。

流通としては、オートクチュール(高級注文服、高級オーダーメイド服)は、限られた個人からの注文のみを受け、一点一点手作業で制作した服を顧客に渡すという流れですが、プレタポルテ(高級既製服)は基本的には、卸売から大量受注して小売する流れとなります。

プレタポルテ」以前の既製服は、既製品という意味を持つコンフェクション(confection)と呼ばれていましたが、これらの言葉が「大量生産された粗悪な安物」というニュアンスを持っていたため、それらと区別するために1945年に「プレタポルテ」という言葉が生まれました。
今では、年に2回開催されるファッション・ショーや展示会によって、世界のファッションをリードする立場となっています。



●ベビードールルック
ベビー(baby)ドール(doll)つまり「赤ちゃん人形」で、子供っぽくあどけない雰囲気、または小悪魔的なイメージを持つ女性や、そういったニュアンスのファッションスタイルを指しています。また、似たような意味でナイトガウンの一種であるベビードールを基調にしたファッションの事もこう言います。

リトルガールルックのひとつで、ルーズウエストでフレアーの入ったゆったりしたワンピースに、フリルやレースの飾りなどを付けたものや、シュミーズを短くしたようなドレスを指します。ルーズなシルエット、ショート丈、衿・胸元・袖のフリルというデザインは基本ですがバリエーションは豊富です。

基本形を作ったデザイナーはクリストバール・バレンシアガ、その後は50年代のマギー・ルフ、80年代のジャン・ポール・ゴルチエヴィヴィアン・ウエストウッド山本耀司などがロリータ、ベビードールブームを引き起こしました。



●ボディ・コンシャス(body conscious)
略して「ボディコン」(和製英語)です。consciousは「〜を意識する」という意味で、ニット素材などを使用し、体にフィットするデザインでボディラインを強調した服で、元々は女性の自己主張、解放を目指すファッションの動きの一つでした。

出始めは1981年のミラノ・コレクションにおいてアズディン・アライアが発表したドレスでした。その後、ピンキー&ダイアンなどが更にシルエットを強調したデザインを発表しました。
日本でのブームは1980年代のバブル期で主に遊び着としての流行でした。



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●マニッシュ・ルック(the mannish look)
マニッシュとは「男のような、男気取りの」の意味で、マスキュリン・ルック(masculine look「男性的な」)とも言われます。フェミニンと対極にある言葉で、女性のファッションスタイルに関して使います。女性が男性的な装いをすることによって女性らしさを表現するスタイルです。

20世紀初頭から女性の社会進出が増えてきたことにより確立されました。

テーラード・スーツのような細身のパンツ、ジャケットにシャツやベストを組み合わせネクタイを結んだり、ヘアスタイルもボーイッシュにしたりして、男性と対等に職場で活躍するキャリアウーマンのスタイルとして定着していきました。


ミニマリズム(minimalism)
最小限(Minimal)と主義(ism)を組み合わせた用語です。1960年代、アメリカから登場した考え方で、ファッションだけでなく造形美術の分野で主流を占めた傾向です。

80年代のゴージャスで豪奢なデザインに対して90年代はシンプルなデザインが流行し、極限までシンプル化させていきました。服から無駄な要素をすべて省き、最小限にすることにより本来人間のもつ感覚を回復させ、内面性を浮かび上がらせようとしました。


みゆき族
1964年頃に、日本で流行したファッション文化です。

男性はバミューダパンツや「VAN」のジャケットなど、アイビーを崩したスタイル、女性は白いブラウスにフラットな靴、ロングスカート、リボンベルトを後ろ手に締めて、頭にスカーフを巻いたり首にネッカチーフを巻き、紙袋やズダ袋を脇に抱えたスタイルで、銀座のみゆき通りを闊歩していた事が名前の由来です。

「VAN」とはヴァンジャケット社のブランド名で、このロゴが入った紙袋を持って歩くだけでおしゃれだとされ、アイビーファッション信望者の中では神様的存在でありました。

1970年代も人気は衰えず、他には「JUN」などの似たようなアルファベットブランドが増えていきました。



●ミラノコレクション(Milan fashion week)
1976年以来イタリアのミラノで開催されているコレクションです。
メンズの「ミラノ・モーダ・ウォーモ」とレディースの「ミラノ・モーダ・ドンナ」がそれぞれ夏と冬に年2回ずつ行われます。

多くのデザイナーが新作を発表する場で、宣伝のためにバイヤーやジャーナリストやカメラマンを招待しますが、ビジネスとしてのコレクションなので一般の人は見ることが出来ません。このコレクションの次の週にパリ・コレクションが行われます。



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