流行あれこれ《カ〜タ》

≪カ行≫

●カジュアル(casual)
もともとは正式ではない略式の状態を指す形容詞でしたが、今では普段着としてのファッション全般を指す言葉として定着していますね。対義語はフォーマル(formal)。カジュアルファッションは、着ている本人も見ている相手も、互いに堅苦しくない雰囲気をもたらし、リラックスできるファッションです。



カラス族
カラスのように全身黒ずくめの服装で身を覆った若者達の俗称です。
当初は1960年代半ばに現れたアイビールック(アメリカの大学生に見る伝統的な服装)の若者たちのことをこう呼んでいました。一般的に知られているのは、1980年代前半の山本耀司(デザイナー、イベント・プロデューサーとして有名)や川久保玲(現代ファッションを代表するカリスマ的デザイナー)などに代表されるDCブランドのモノトーンルック(白と黒の服装)を着ている人々の呼び名です。
また、「青森ねぶた」に乱入した集団や、若い女性を勧誘して風俗店を斡旋するスカウトマンの事もこう呼んでいましたが、共通点は黒ずくめのファッションです。



●ギャルソンヌルック(仏:garconne)
ギャルソンヌとは1922年頃パリで大評判になった小説「ラ・ギャルソンヌ」から生まれた新語で、仏語のギャルソン(男の子)を女性形にした”少年のような女性”という意味で、当時続々と出てきた活発で若い働く女性たちの総称となりました。そして、この小説を基にして生まれたシンプルで活動的な服装が流行しました。フラットなバストにショートボブ(おかっぱをさらに短く、少年風のイメージにカットしたもの)のヘアースタイル、細身で直線的なシルエットのテーラードスーツやドレス、膝下丈のスカートなど、これまでの女性らしさを強調したスタイルとは異なる、新鮮な魅力が流行のきっかけとなりました。この時代の代表的なデザイナーは、シャネル、ランバンなどです。



●コンサバ=コンサバティブ(conservative)
「保守的な、控えめな」という意味のコンサバティブの略語です。最新の流行やトレンドに左右されず、ベーシックで控えめなファッションスタイルのことを指します。また、本来の意味からやや外れ、保守的なセンスの中に女性らしいエレガントさを取り入れたファッションのことも指し示すようです。
日本では1975年以降、神戸のお嬢様風スタイル“ニュートラ”(ニュー・トラディショナル)、横浜元町のお嬢様風スタイル“ハマトラ”(ヨコハマ・トラディショナル)ブームが起き、1985年頃のバブル期に入ると、女子大生ブームが全盛になりました。長い黒髪に太い眉、肩パットの入ったかっちりとしたスーツ・ブラウス・ブランドスカーフ・タイトスカート等、赤文字雑誌(JJ、cancam、ViVi、Rayなど)が取り上げたファッションを「コンサバ」と称し、お嬢様(淑女)の必須アイテムとなりました。近年は、コンサバにギャル的センスを取り入れた「お姉系」がブームになり、エレガンスよりもセクシーさを強調するようにもなりました。
対義語は「アバンギャルド」または「コンテンポラリー」。しきたりに囚われない革新的なセンスのモード系、ユニセックス寄りのセンスでラフな衣類を纏うカジュアルなどになります。



●コンチネンタルスタイル(continental style)
コンチネンタルは「ヨーロッパ大陸の」という意味で、紳士服のスタイルに使われる言葉です。一般的にアメリカのスーツに対して、ヨーロッパのスーツモデルをコンチネンタルモデルと特定して呼んでいる場合が多いようです。また、ヨーロッパのスーツやジャケットなどをヨーロピアンスタイルと呼ぶこともあり、アメリカンスタイルと比べると、テーラードなどの第一ボタンの位置が下のほうに付いており、シャープでスリムなラペルラインが多いです。


ファッション


≪サ行≫


●渋カジ
バブル期の1980年代後期〜1990年代の若者のファッションスタイルで、渋谷の高校生を中心とした「渋谷カジュアル」の略です。また「渋いカジュアル」と言う説もありますが、これはハッキリとした裏づけはなく俗説のようです。
特徴は、それまでに大流行していたDCブランドとはまったく対照的で、白のTシャツやポロシャツ・ストライプシャツ、インポートのストレートジーンズ、紺のブレザー(紺ブレ)、スタジアムジャンパー(スタジャン)、ローファー、モカシン等・・・シンプルなものでした。方向性も様々で、アメリカンカジュアル風、インポートのソフトトラッド風、エスニック風、ウエスタン風といったあらゆるアイテムを自分なりに取り入れたスタイルでした。



●スーパーモデル(a super model)
1980年代後半から1990年代中頃までに活躍したファッションモデルの中でも、ごく限られたトップモデルたちの事です。「スーパーモデルブーム」と呼ばれる社会現象を巻き起こしたこともあります。ハッキリした定義は分からないのですが、トップレベルのファッションデザイナーと共に世界中で活躍し、知名度も高いと言うこと、オートクチュールで活躍していること等が条件として挙げられるようです。つまり本当に厳選された少数のエリートモデルということになりますね。しかし、90年代の後半からは線引きがあいまいになって、トップモデルに対して条件問わずこの名称が使われたり、日本では海外で活躍しているモデルに対してもこう呼ばれることが多くなってしまいました。これが、「スーパーモデル」という名称に陳腐さを与えてしまったようで、この後ブームは終焉を迎えました。


ファッション


≪タ行≫


竹の子族
1979年〜1984年にかけて、原宿の代々木公園の脇の歩行者天国ホコ天)で、ラジカセを囲みディスコサウンドに合わせて踊っていた若者集団の総称です。また、彼ら特有のファッションもここから生まれました。「竹の子ファッション」と呼ばれた衣装は、原宿の「ブティック・竹の子」で売られていたことから付いた名称です。
主に首都圏の中高生が中心になってグループを作っており、個々のグループによってファッションコンセプトがありました。特徴は、原色で大柄な生地を使用したものが多く、古代日本風、チャイナ風、アラビア風、特攻服風と様々でしたが総称して「ハーレムスーツ」とも呼ばれていたようです。シルエット的には上下共だぶだぶで、足首を絞り、アクセサリーはぬいぐるみやリボン、ロングネックレスなどユニークなものが多く、足元は踊りやすいように上履きやカンフーシューズのようなものを履いていました。自作の衣装も多かったようで、個性にあふれていたと思われます。



●DCブランド(a big-name designer or character-goods brand)
1980年代中盤に日本でブームとなった、日本の衣服のデザイナーズブランドとキャラクターズブランドの総称です。しかし、概念としての「デザイナーズブランド」と「キャラクターズブランド」とは内容が異なっていますので、同一視は出来ません。
ブームの発端はファッション雑誌でした。主な雑誌は「anan」「POPEYE」「JJ」等で、雑誌掲載されたブランドで働く販売員は「ハウスマヌカン」と呼ばれ当時の人気職業でした。この現象は日本だけのもので、「コム・デ・ギャルソン」「Y's」「イッセイミヤケ」などを除いたブランドは海外での知名度はほとんどありませんでした。全盛期は1983年〜1987年頃までで、セール時にはファッションビルやデパートに朝早くから行列が出来たほどの人気でした。その後は、バブル景気の全盛に伴い「ジョルジオ・アルマーニ」や「ラルフ・ローレン」といった高級輸入ブランドが進出してきた事と、ボディコンブームの到来により衰退していきました。



●トラディショナル・スタイル(traditional styale)
伝統的メンズ・スタイルのことで、米国東部の伝統的スタイルの事を指すことが多く、アメリカン・トラディショナルとも呼ばれます。また、ブリティッシュ系トラディショナルや、日本独自のニュートラなども含めて呼ぶ事もあります。「伝統的・正統派」という意味があり、流行に左右されないテーラードスーツやトレンチコートなどのベーシックなデザイン、またはウールやカシミアなどの素材を用いたものを総称したりもします。略してトラッドとも言います。
細かく分ければ、アメリカの場合はエレガントなヨーロピアンタイプとは対照的で全体的にスポーティで機能的な雰囲気を持ち、ブレザー、チェック柄のパンツ、ボタンダウンのシャツといった組み合わせが一般的な感じです。ブリティッシュ・トラディショナルは肩幅の広いたっぷりめのジャケットと、ゆったりしたプリーツのパンツといったシルエットが特徴的で、タータンチェックを使った、オーソドックスなものが多いです。どちらも国民的なファッションとして定着しているスタイルです。



●トレンド(trend)
トレンディー(trendy)は形容動詞。ファッション、マーケティング、経済動向分析などの分野でよく使われ、一般的には時代の趨勢、潮流、流行のことを指します。


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